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弁護士と学ぶ相続Q&A
相談者
父が亡くなり、父の遺産を相続することになったので、父の遺産について調査したところ、登記上、曽祖父の名義のままになっている土地があることがわかりました。
私の名義にするにはどうすればいいのでしょうか。
弁護士
遺産分割協議や相続登記を行わないうちに相続人が死亡し、次の相続が開始してしまった場合を、「数次相続」といいます。
相続登記には特に期限が定められていないため、数次相続は珍しいものではありません。
相談者
具体的にはどうすればいいのでしょうか。
弁護士
下の家系図を例にご説明しましょう。
曽祖父がA、相談者様がKに当たると考えてください。
曽祖父Aが亡くなった場合、本来は相続人であるB、CとDが遺産分割協議を行う必要があったのですが、遺産分割協議が未了のまま3人とも亡くなったときは、B~Dの相続人が、B~Dの地位を受け継ぐことになります。
さらに、Dの相続人であるIが亡くなると、Iの相続人であるK(相談者様)とLがIの地位を引き継ぐことになります。
仮にこの時点でE、F、G、H、Jが存命であるとすると、Aの遺産分割協議を進める地位にあるのは、E、F、G、H、J、K、Lということになりますから、この全員で遺産分割協議をする必要があります。
相談者
協議の結果、全員が私が取得することに納得してくれた場合、登記手続はどうすればいいのでしょうか。
曽祖父から祖父、祖父から父、父から私という流れの全てを登記しなければならないとすると、費用もかなりかかるのではないでしょうか。
弁護士
数次相続について相続登記をする場合、中間の相続が単独相続である場合に限って、一個の申請で登記の申請をすることができる(中間の登記を省略することができる)とされています。
したがって、次の①~③の手順を踏めば、曽祖父から直接相談者様の名義に変更することが可能です。
①Aの相続人であるB、C、Dの中で、Dが単独相続することに決める。そのためには、E、F、G、H、J、K、Lで遺産分割協議をすることが必要です。
②次に、Dの相続について、J、K、Lが遺産分割協議を行い、Iが単独相続することにする。
③最後に、Iの相続についてKとLで遺産分割協議を行い、Kが相続することにする。
相談者
手続はよくわかりました。ですが、全員で協議が必要となるとかなり大変そうですね。
弁護士
そのとおりです。例の家系図は理解しやすく単純化させたものですが、実際には子どもの数が多かったり、配偶者がいたりして、もっと大勢の相続人の協力を得る必要がある場合も少なくありません。
なかには音信不通になっていたり、海外に移住したりしている方もいるかもしれません。
相談者
そうなると私のような素人には手に負えないように思うのですが。相続税法が変更され、平成27年1月1日以降に亡くなられた方には、新しい相続税法が適用されます。
弁護士
相続関係が複雑な事案の場合、相続人全員を把握することが難しいですし、だれとだれの間で遺産分割協議書を作成すればいいかもわかりにくいでしょう。
また、相続人が多数にのぼる場合、全員で遺産分割協議をすることが物理的に困難なときもあります。
ですから、弁護士に依頼することが望しいといえます。
弁護士に依頼すれば、早急に相続人の調査を行い、相続人の範囲を確定して遺産分割協議を開始することができますし、相続人全員による協議が物理的に困難である場合には、相続人全員を被告として訴訟を提起し、勝訴判決を得て、その判決で名義を移転させることも可能です。
数次相続でお悩みの場合には、まずは弁護士に相談し、どのような解決の枠組みがあるかを教えてもらうようにするといいでしょう。
相続Q&Aは、具体的な案件についての法的助言を行うものではなく、一般的な情報提供を目的とするものです。
相続に関するお悩みは、弁護士法人ALGまでお気軽にご相談ください。
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