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監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates
人が亡くなると、亡くなった方の財産等を受け継ぐ相続が発生します。相続によって遺産である不動産の所有者が変わった場合、新たに所有者となった方を不動産の所有者として登録することが必要になりますが、このときに行われるのが相続登記です。 相続登記は、遺産分割の方法によって必要となる書類や手続きが異なり複雑です。また、相続登記を怠ると、後述するとおりトラブルの原因になってしまうため注意も必要です。 そこで、相続登記についての基礎知識や注意点について、説明していきたいと思います。
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不動産の所有者であった被相続人が亡くなり、相続人へ登記名義の変更をすることを相続登記といいます。つまり、相続した不動産の名義変更手続きを行うことです。 不動産には、「登記制度」というものがあります。これにより、不動産の種類や面積、番号、所有者名といった情報が登録され、法務局で管理されることになります。名義は相続によって所有者が変わると自動的に変更されるというものではないため、相続登記の申請が必要になります。 相続登記の手続きをすることによって、その不動産の所有者が相続人に変更されたことを第三者に証明できるようになります。
相続に関する手続きには、多くの場合期限が定められています。例えば、相続放棄の手続きは3ヶ月以内、相続税の申告は10ヶ月以内にしなければなりません。 しかし、相続登記には期限が定められていません。いつ相続登記をするのか、あるいは相続登記をしないでいるかは相続人の自由です。 ただし、相続登記を怠り放置していると、思わぬトラブルに見舞われることがあります。
相続登記の手続きを怠り放置していると、不動産の活用ができなくなる、再度の相続が起こったときに手続きが煩雑になる、相続人が増え揉めやすくなるといったようなトラブルが起こるおそれがあります。 詳細については下記の記事をご覧ください。
相続登記を放置することで相続人に及ぼす影響相続登記を共有名義にすると、売却や改築、賃貸等をする際に共有者全員の同意が必要になり、不動産の活用に大きな制限を受けてしまいます。また、共有名義人に負債があった場合、共有名義人の持分を差し押さえられてしまうおそれもあります。 詳細については下記の記事をご覧ください。
共有名義の相続登記、トラブルを未然に防ぐためのポイント相続登記に期限はないといっても、行わないことによって被る不利益は大きいものです。相続登記は必ず行いましょう。 しかし、相続登記の申請の方法や必要書類の準備の仕方等、おわかりにならないことも多いかと思います。 そこで出番となるのが、専門家である弁護士です。弁護士に依頼すれば、手間のかかる手続きに煩わされることなく、相続登記を完了することができます。専門家に任せることができるので、相続登記の手続きについてわからないことがあっても問題ありません。 相続登記について疑問がおありの方は、まずは弁護士にご相談ください。
相続登記に必要な書類は、遺産分割の方法によって異なります。 遺産分割の方法は、主に以下の3通りです。
今回は、①と②の場合に必要となる書類について解説します。
まず、どの遺産分割方法による場合でも必要となる書類は、以下のとおりです。 ・所有権移転登記申請書 ―相続登記の申請をするための書類です。遺産分割の方法によって、記載する内容が異なります。 ・対象不動産の固定資産評価証明書(※相続登記の申請を行う年度のもの) ―登録免許税の算出のために必要な書類です。不動産がある市区町村役場か市税事務所で取得が可能です。 ・不動産取得者の住民票(※被相続人が死亡した日以降に発行されたもの) ―不動産を取得する方の住所を証明するために必要な書類です。 ・被相続人の住民票の除票または戸籍の附票 ―登記簿上の名義人と被相続人が同一人物であることを証明するための書類です。 これに対し、登記原因を証明するための書類は、遺産分割の方法によって異なります。
遺産分割協議による相続登記を行う場合に必要となる書類は、基本的に必要となる書類に下記の書類を加えたものです。
・遺産分割協議書
―協議した結果を書面にしたものです。相続人全員で協議して不動産を相続する人を決めたことを証明するため、相続人全員が自書で署名し、実印を押します。
・相続人全員の印鑑証明書
―遺産分割協議書の内容を証明するため必要です。
・相続関係説明図
―一定の様式に基づき相続関係をまとめた書類です。
・相続人全員の戸籍謄本(※被相続人が死亡した日以降に発行されたもの)
―相続人が相続発生時に生存していることを証明するための書類です。
・被相続人の出生から死亡時までのすべての戸籍(あるいは除籍、改正原戸籍)謄本
―相続が発生したこと及び相続人が誰であるかの証明をするために必要な書類です。結婚や本籍地の移転によって戸籍が変わった場合は、以前に戸籍のあった市区町村役場へも請求することになります。
遺言書があり、遺言による相続人への相続登記を行う場合に必要となる書類は、基本的に必要となる書類に下記の書類を加えたものです。
・遺言書
―被相続人の遺言内容を証明するために必要な書類です。自筆証書遺言または秘密証書遺言の場合は検認済みであることが必要です。
・被相続人の死亡時の戸籍謄本
―相続が発生したことを証明するために必要な書類です。
・不動産取得者の戸籍謄本
―相続人が相続発生時に生存していることを証明するための書類なので、被相続人が死亡した日以降に発行されたものであることが必要です。
相続登記の際には、相続人が誰なのかを確定するために戸籍を集める必要があります。なぜなら、戸籍には、父母や婚姻者、子等といった相続人となる方の氏名が記載されているからです。 また、相続登記で必要になる戸籍は、被相続人が出生してから死亡時までのすべての戸籍と相続人全員の戸籍です。そのため、相続人が増えて集めなければならない戸籍の数が増えるにつれ、収集にかかる労力も増えることになります。
登記申請書の内容に修正があったり、書類に不備や不足があったりした場合には、それを補うこと(相続登記の補正)が必要になります。 このことからわかるように、少しでも不備があると、相続登記の手続きは完了しません。しかし、相続登記の申請書類を不足なく揃え、登記申請書類や遺産分割協議書を不備なく準備するためには大変な労力と時間がかかります。 こうした煩雑な事務作業は、弁護士にお任せください。専門家である弁護士は、相続問題の処理にも慣れているので、ミスなく相続登記手続きを完了することができます。 相続登記の書類準備でお困りの方は、ぜひ弁護士にご依頼ください。
相続税にも強い弁護士が豊富な経験と実績であなたをフルサポート致します
相続登記の手続きの流れは、以下のようになります。
1 不動産所有者の死亡
→不動産所有者の死亡とともに、相続が発生します。
2 遺言者の有無の確認
→遺言書の有無を確認し、遺産分割の方法を決定します。
3 相続人の確定
→戸籍を集め、相続人を確定します。
4 相続する不動産の調査・確定(遺産分割協議)
→相続の対象とみられる不動産を調査し、権利関係の確認を行うとともに、遺言がない場合には、誰がどの不動産を相続するか確定します。
5 相続登記を法務局へ申請
→相続登記に必要な書類を準備し、不動産の所在地を管轄する法務局へ申請を行います。このとき、窓口・郵送・オンラインでの申請のうち好きなものを選ぶことができます。
遺産分割協議で単独で不動産を相続することが決まった相続人は、単独で相続登記の申請をすることができます。しかし、その際には、遺産分割協議書や他の相続人の印鑑証明書を添付して、相続したことを証明しなければなりません。そのため、他の相続人が印鑑証明書の提出を拒む場合には、登記申請ができなくなってしまいます。
このような場合には、相続登記手続きに協力しない相続人を相手に裁判を起こすことになり、非常に手間がかかります。 こうした事態を未然に防ぐためにも、あらかじめ弁護士に依頼しておき、トラブルが起きる余地をなくしておくことが重要だといえるでしょう。
相続登記をする際には、登録免許税という税金がかかります。具体的には、固定資産税評価証明書中の、固定資産評価額に0.4%を掛けた金額を納付することになります。
不動産の登記申請は、基本的に登記義務者と登記権利者が共同で行わなければなりません。 なぜ共同で行わなければならないのか、登記義務者と登記権利者とは何かについて、以下で説明します。
登記は、登記権利者と登記義務者が共同で申請するのが原則です(共同申請の原則)。ただし、相続登記によって権利を失う人がいない場合は、例外的に権利を取得する人が単独で申請できます。 共同申請の原則がある理由は、虚偽の登記を防止するためです。 登記を行う登記官は、実質的審査権を持たず形式的審査のみを行うため、形式さえ整っていれば、虚偽の登記の申請であっても認められてしまうおそれがあります。しかし、通常自らに不利益な行為はしないと考えられるので、相続登記によって直接不利益を受ける登記義務者が申請に関与していれば、虚偽の登記の申請である可能性が低くなります。そのため、共同申請の原則が設けられているのです。
登記によって直接に不利益を受ける人を、登記義務者といいます。そして、直接に利益を受ける人を登記権利者といいます。 新たに登記をする際、それまで所有権者として登録されていた人は、第三者に対して所有権を証明することができなくなってしまいます。つまり、直接に不利益を受けるといえ、新たな登記より前に所有権者として登録されていた人が、登記義務者となるのです。 また、登記名義人となる人は、第三者に対して所有権を証明する手段を手に入れます。つまり、直接に利益を受けるといえるので、登記名義人になる人は、登記権利者となります。 以上のことからわかるように、登記義務者と登記権利者は対立する関係にあります。
被相続人から、相続人に名義変更をするのが相続登記です。被相続人が既に死亡しているので、登記義務者として共同申請をすることは不可能です。加えて、相続人が複数いても、そのなかのひとりが相続登記を単独で行うことができる場合があるのも特徴です。 例えば、不動産の相続人が複数おり、共有にかかるものとして相続登記を法定相続分で行う場合等に、単独申請が可能です。相続人が複数いれば不動産は共有物となりますが、共有にかかるものとして相続登記するのは、相続人全員のためになる保存行為といえます。よって、単独での申請ができることとなっています。
登記識別情報とは、不動産の登記申請をした際に、その登記によって登記名義人になる人に対して通知される、12桁の英数字を組み合わせたパスワードのようなものです。登記申請の際に本人を確認する方法として用いられます。 ただし、登記識別情報は申請した本人にしか発行されないことに注意が必要です。登記識別情報は不動産の売却等といった処分の際に必要であり、ないと手続きが煩雑になります。 登記申請の手続きを相続人一人に任せきりにはせずに、ご自身でも登記識別情報を入手されるようにしてください。
遺言がある場合、相続登記のために必要な書類が異なることに加えて、遺言の内容によっても手続きが異なってくるため注意が必要です。以下で説明します。
相続人に対し「相続させる」と書いてある遺言がある場合や、法定相続分での共同相続登記を経ずに遺産分割した場合は、登記権利者の単独申請が可能です。 なぜなら、この場合は、既に死亡している被相続人から相続人へと直接「相続」によって権利が移転することになり、登記義務者が存在しないからです。 そのため、登記権利者である相続人が単独で相続登記をすることができます。 一方で、一旦、法定相続分での共同相続登記をしてから遺産分割を行った場合、登記上は相続人から他の相続人へ権利が移ることになるため、共同申請が必要となります。
相続人・相続人以外に「遺贈する」と書いてある場合、単独申請はできません。 なぜなら、「遺贈」は贈与の一種であり、一種の契約と解されるからです。そのため、遺贈の場合は、登記権利者の受贈者(遺贈を受ける人)と登記義務者である相続人全員の共同申請となります。 相続人全員の協力が得られないと登記を完了することができない点で、通常の相続の場合と比べて、手間がかかります。
遺言執行者とは、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する人のことです。遺言者(亡くなった人)の指定か、もしくは利害関係人の請求により家庭裁判所が指定すること等によって選任されます。 遺言の実現のため、遺贈を理由とする登記をする際には、遺言執行者が登記義務者となります。つまり、登記義務者を遺言執行者、登記権利者を受贈者として、遺言執行者と受贈者が共同申請で登記を行うことになります。 そのため、弁護士に依頼し、弁護士を遺言執行者とすれば、スムーズに登記を行うことができます。
遺言で「相続」と書くか「遺贈」と書くかによって、相続登記の際の手間が大きく変わります。意味合いが似ているために被相続人が混同して使っていると、相続人の方々が大変な労力を払うことになりかねません。場合によっては遺言書の効力に疑義が生じることもあります。遺言書が残っていた場合、故人の遺志を汲んだ遺産分割ができる一方、こうした労力が必要になるケースがあります。 しかし、弁護士に依頼すれば、「相続」か「遺贈」かという遺言書の文言に煩わされることなく、故人の遺志を汲んだ遺産分割をスムーズにすることができます。 遺言書が残されていた場合は、まずは弁護士へご相談ください。
財遺産分割をやり直し、相続登記の変更・やり直しが必要になった場合、相続登記を変更・やり直すことは可能です。ただし、新たに贈与税や登録免許税等がかかることがあります。 例えば、遺産分割協議で長男が土地を相続することが決定し、相続登記も完了したとします。しかし、後になって協議をやり直し、やはり二男に土地を相続させることになった場合、税務上は長男から次男への贈与とみなされるため、贈与税等が課されます。加えて、土地の名義を二男へと変更する必要があるため、長男名義の所有権移転登記の抹消と、二男を名義人とする登記申請に伴う登録免許税も課されることになります。
戸籍は、本籍地のある市区町村役場の窓口か郵送で申請書類を提出することで取得します。なお、取得資格のある本人か配偶者、父母子孫、代理人(委任状が必要)が申請する必要があります。 仮に結婚や本籍地の移転によって戸籍が変わっているときは、以前に戸籍があった市区町村役場へも請求することが必要です。また、相続人の本籍地がばらばらである場合、戸籍収集は大変手間になります。 この点、弁護士に依頼すれば、相続登記の手続きまで一括して請け負ってくれるので、時間や労力をかけずに相続登記を完了することができます。ぜひ弁護士への依頼をご検討ください。
相続放棄をしても、登記を被相続人のまま放置していると、固定資産税の納税通知が来てしまうおそれがあります。 固定資産税の納税義務者は不動産の所有者ですが、亡くなった方は所有者にはなれません。そのため、不動産の所有者が亡くなると、新たに当該不動産の所有者になるだろうと推定される相続人のもとに納税通知が来ることになるのです。納税通知が来ることを防ぐためには、相続放棄をしたことが第三者にもわかるようにしておく必要があります。 詳細については下記の記事をご覧ください。
相続放棄後でも固定資産税の支払い義務はあるのか不動産の登記は、実態に即した形になっていなければなりません。具体的にいうと、実際に所有権が移動した順に登記が行われる必要があります。 つまり、相続人の名義に変更をしないと、売買による所有権移転登記をすることができません。相続した不動産を売却するならば、売買前に必ず相続登記を行っておかなければなりません。 したがって、名義変更をせずに相続不動産を売買することはできません。
相続人がたとえ未成年でも、相続登記は必要となります。 ただし、単独では相続登記をすることができないため、親権者、あるいは特別代理人が手続きをする必要があります。なお、特別代理人は、親権者も相続人であり、子である未成年者と利益相反してしまう場合に限って選任されます。 なお、法定相続分で相続登記を行う場合には利益相反することはないため、親権者が相続人であっても代わりに手続きをすることができます。
相続発生後も相続の登記をせずに被相続人の家に住み続けた場合、後々、他の相続人から遺産分割が終わっていないとして、その家の権利を主張されるおそれがあります。特に何代も相続の登記を怠っていると、他の多数の相続人から自分のものだと思っていた家の権利を主張されるおそれがあります。 この場合に、改めて自分の家として相続登記をしようとしても、何代も経ていることによって、相続人として印鑑を貰わなければならない人が多数に及んでしまうため、手続きが非常に困難なものになります。そのため、相続登記はその都度確実に行っておく必要があります。 もっとも、このような場合でも、相続ではなく時効取得によって不動産を取得したとして、家を自分のものとして登記する方法もあります。詳しくは弁護士にご相談ください。
相続登記をする際には、申請に必要な書類集めや遺産分割協議書、相続関係説明図等の作成が必要です。しかし、専門知識が必要となりますし、時間や手間もかかりますので、ご自身だけで手続を進めることは難しいでしょう。また、遺産分割にも専門知識が必要ですから、専門家に相談しないままに遺産分割をしてしまうと、遺産の分け方で失敗してしまうおそれがあります。 こうした事態を防ぐためにも、相続登記をする際は、法律の専門家である弁護士に依頼するのがおすすめです。相続は民法の規定に従って行われるので、法律のプロである弁護士はスムーズに手続きを行うことができます。 相続手続きを正確に進めるためにも、ぜひ弁護士にご依頼ください。