メニュー
来所法律相談30分無料・24時間予約受付・年中無休・通話無料
※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。 ※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。
来所法律相談30分無料・通話無料・24時間予約受付・年中無休
0120-177-048
メールお問い合わせ
※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。 ※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。
亡くなった人(被相続人)と同居していた場合、身の回りの世話をしていたこと等に対して寄与分を認めてもらい、他の相続人(共同相続人)よりも多く遺産を受け取ることができるのでしょうか? 同居の寄与分について、このページで解説していきます。
残念ながら、「被相続人と同居していた」という事実だけでは、寄与分が認められることはまずありません。 そもそも寄与分とは、共同相続人の中に被相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をした者(寄与者)がいるときに、その寄与者の相続分を増やして、相続人間の衡平を図る制度のことをいいます。 寄与者の行為によって「被相続人の財産が維持または増加した」という点が重要になりますが、単に“食事の用意をしていた”といったような身の回りの世話をしていただけでは、これに当てはまりません。 また、寄与者の行為が「特別の寄与」と認められる必要があります。「特別の寄与」とは、被相続人との身分関係(夫婦、親子、兄弟姉妹等)から通常期待される程度を超えるような貢献をいいます。例えば、民法では親子間には扶養義務があると定められているため、同居している親の面倒を子がみることはある程度当然のものとされ、「特別の寄与」とみなされることはありません。
それでは、どのような場合に寄与分を認めてもらえるのでしょうか?寄与行為は、大きく5つの類型に分けることができます。 今回は被相続人と同居していた相続人に寄与分が認められるケースを、類型に沿ってご説明します。
相続人が被相続人と同居して、自身の扶養義務の範囲を超えて扶養していたことで、被相続人が生活費等の支出を免れた場合、扶養型の寄与分が認められます。 扶養型の寄与分について詳しく知りたい方は、下記のページをご参照ください。
扶養型の寄与分について相続人が被相続人と同居しながら看護(または介護)に専念した場合、療養看護型の寄与分が認められます。ただし、日常生活の合間の看護ではなく、つきっきりの看護といえる状態でなければなりません。 療養看護型の寄与分
相続人が同居する被相続人の営む事業に労務を提供したことで、被相続人の財産の維持・増加につながった場合、家事従事型の寄与分が認められます。事業の典型例として、農業や商業が挙げられます。 家事従事型の寄与分
相続人が同居する被相続人名義の家のローンをすべて立て替えた場合、金銭出資型の寄与分が認められます。その他に事業資金や不動産等の購入資金を援助したり、借金の弁済をしたりした場合も金銭出資型に該当します。 金銭出資型の寄与分
相続人が同居する被相続人に代わって、被相続人名義の土地の売却交渉を行ったことで、被相続人の財産の維持形成がなされた場合、財産管理型の寄与分が認められます。そのほか、被相続人の賃貸不動産を管理したり、賃借人の立ち退き交渉をしたりした場合も財産管理型に該当します。 財産管理型の寄与分
寄与分を認めてもらうには、次の要件をすべて満たす必要があります。
さらに、寄与行為の類型ごとの要件があるため、以下でご説明します。
扶養型の寄与分の場合
扶養型の寄与分の要件は、以下のとおりです。
療養看護型の寄与分の場合
療養看護型の寄与分の要件は、以下のとおりです。
家事従事型の寄与分の場合
家事従事型の寄与分の要件は、以下のとおりです。
金銭出資型の寄与分の場合
金銭出資型の場合、「無償ないしこれに近い状態で行われていること」が求められますが、他の寄与分の類型と違って、「継続性」や「専従性」は必要ありません。
財産管理型の寄与分の場合
財産管理型の寄与分の要件は、以下のとおりです。
被相続人と同居していたとしても、5つの類型のような寄与行為がなければ、寄与分は認められないことがおわかりいただけたかと思います。しかし、実際には類型に完全に当てはめられないようなケースもあると考えられます。では、次のような場合は寄与分として認めてもらえるのでしょうか?
過去に一時期同居して扶養していた場合、寄与分は認められる?
被相続人が亡くなる直前は同居していなかったけれど、過去に同居して扶養していた期間があるという場合も、扶養型の要件を満たしていれば寄与分が認められる可能性はあります。
家業の手伝いのほか、家事もすべて行った場合は寄与分を上乗せできる?
まずは、家業の手伝いが家事従事型の寄与分として認められることが前提となります。そのうえで、もし家業の手伝いをしていなかったとしても、行った家事自体が扶養型や療養看護型の寄与分として認められるほどの「特別の寄与」といえるようであれば、その分を上乗せして寄与分を算定できる可能性はあります。ただし、親族は扶養義務を負っているため、家事をその義務の範囲を超える行為と認めてもらうのは、なかなか難しい傾向にあるといえるでしょう。
相続税にも強い弁護士が豊富な経験と実績であなたをフルサポート致します
寄与分を主張するためには、“自身の扶養義務の範囲を超えるような貢献をしていた”ということを証拠として残しておく必要があります。同居の場合は扶養型や療養看護型が特に多いと思われますが、それらの類型では、被相続人の財産が維持・増加したことがわかるもの(預貯金通帳等)のほか、扶養のための支出内容がわかるもの(領収書、家計簿等)、被相続人の健康状態がわかるもの(診断書、カルテ、要介護認定結果通知書等)、看護の内容や貢献した期間、一日のうち看護に充てた時間がわかるもの(看護日記等)といった資料が証拠になり得ます。
寄与分の算定方法は、法律で明確に決められているわけではなく、寄与行為の類型によって変わってくるためとても複雑です。類型ごとの具体的な算定方法については、以下のページで解説していますのでご参照ください。
寄与分の計算についてここでは、被相続人と同居していたことで考えられる問題点についてみていきましょう。
扶養していたが家計が一緒でどれだけ扶養していたかわからない
扶養型の寄与分額は、実際に相続人が扶養のために負担した金額を基準として算出します。しかし、同居で家計が一緒になってしまったために具体的な金額がわからない場合は、厚生労働大臣の定める生活保護基準や、総務省統計局による家計調査を参考にすることもあります。
自分だけが被相続人を扶養していたが、他の相続人も同居していた
自分以外に他の相続人も被相続人と同居していたかどうかによって、算定方法が変わることは基本的にありません。ただし、他の相続人も同居していた場合、自分だけが扶養していたという事実を立証することが難しく、「特別の寄与」といえるかどうか争いが生じるおそれがあります。
寄与分を主張するには、「特別の寄与であること」および「寄与行為と被相続人の財産の維持または増加に因果関係があること」を十分に立証しなければなりません。 実際の裁判では、寄与分についてどのような判断がなされているのでしょうか?参考として、被相続人と同居していたケースの裁判例を紹介します。
大阪家庭裁判所
平成19年2月26日審判
療養看護型に関して、寄与分が認められました 被相続人の子である申立人は、歩行や移動に常に介助を要する状態の被相続人に対し、深夜も含む排泄介助や失禁の後始末、入浴介助、転倒時の助け起こし等の介護の大半を行っていました。
申立人が家事労働をこなしながらこれらの介護を行ったことからすると、その作業量、肉体的負担、所要時間を考慮して、申立人の生活の中心を被相続人への介護作業が占めたといっても過言ではないと推認できるとして、裁判所は申立人の被相続人に対する在宅介護について、専従性を認めました。寄与分については、看護師家政婦紹介所が看護師等を派遣する際の標準賃金表の金額を基準にして算出したうえで、相続財産の額その他一切の事情を考慮し、相続人間の実質的衡平に資するべく評価を決定するとして、遺産総額の3.2%強に相当する750万円を認めました。 財産管理型に関して、寄与分が認められませんでした 被相続人の資産を被相続人の養子である相続人が運用したことによって生じた利益について、当該相続人が寄与分を主張しました。しかし、「一部の相続人が被相続人の資産を運用した場合、その損失によるリスクは負担せずに、たまたま利益を生じた場合には寄与と主張することは、いわば自己に都合の良い面だけをつまみ食い的に主張するものであり、そのような利益に寄与分を認めることが相続人間の衡平に資するとは、一般的にはいいがたい」、「株価の上昇自体は偶然であり、単にその時期を捉えて保有株式を売却した行為のみで、特別の寄与と評価するには値しない」等の理由で、裁判所は寄与分の主張を否定しました。 寄与分は、単に「被相続人と同居していた」という事実だけでは認められにくいため、「特別の寄与」によって被相続人の財産の維持または増加に貢献したことを立証することが重要です。
しかし、寄与分を主張すると、他の相続人がそれを認めず相続争いに発展してしまう傾向があります。そのような場合であっても、弁護士であれば被相続人や共同相続人の経済状況や家族関係を分析したうえで、依頼者様の寄与行為を立証できる証拠を集め、効果的な主張をすることができます。ご自身のこれまでの貢献や努力を評価してもらうためにも、ぜひ一度弁護士にご相談ください。同居の寄与分が認められるかどうか、ぜひ弁護士へご相談ください