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監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates
身近の方が亡くなり、不動産を相続することになった、というのはよくあることかと思います。では、実際に不動産を相続する際、どのような手続が必要になるのでしょうか。 このページでは、不動産を相続する際の手続について詳しく解説していきます。
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被相続人(=亡くなった方)が、土地や建物等の不動産を所有していた場合、それらを誰が、どのように相続するのかが問題になります。例えば、資産価値のある土地や建物は、相続したいという人が複数名出てくるでしょうから、相続人(=遺産を相続する人)の中で誰が相続するのか、不動産を相続しなかった人には何をどう分配するのかが争点になります。また、不動産を相続すると相続登記の問題が出てきます。 そこで、相続財産の中に不動産があった場合、その分配方法はどのように決まるかといった流れや、相続登記に関する手続等をみていきましょう。
不動産を相続することが決まるまでには、いくつかのステップあります。まずは、被相続人が亡くなってから相続登記をするまでの、遺言書の有無の確認、相続人や相続財産の確認等の主な相続手続の流れをみていきましょう。
被相続人が作成した遺言書がある場合は、原則として、法定相続分ではなく遺言書に記載された内容に従って相続財産を相続人等に分配する必要があります。そのため、被相続人が亡くなったときには、まず遺言書があるかどうか、また遺言書の内容がどのようなものかを確認する必要があります。 また、遺言書が見つかった場合、秘密証書遺言、法務局以外(自宅等)で保管されていた自筆証書遺言は、家庭裁判所において、遺言の内容、偽造および変造がないかの確認をする検認という手続が必要となるため、遺言書を開封せず、家庭裁判所に検認を申し立てましょう。なお、検認の手続を守らない場合、5万円以下の過料に処されるおそれもありますので、注意しましょう。
遺言書がない、あるいは、あっても誰がどの財産を相続するか明確になっていない場合、相続人は遺産分割協議を行うことになります。これは相続人全員で行わなければならないため、相続人が一人でも不足していれば、その協議の内容は無効となってしまいます。 そのため、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍をすべて取得し、その戸籍から法定相続人を確定させなければなりません。この作業は、遺産分割協議の有効性にかかわる非常に重要な作業です。 相続人調査に関して、以下のページで詳しく解説していますのでご参照ください。
相続人調査の方法遺産分割協議においては、相続財産としてどのような財産があるのか、および相続財産の価値はどれくらいなのかが重要ですので、相続財産の内容とその価値を確認することは非常に大切です。また、後から相続財産が出てきた場合、それを欠いたまま協議された遺産分割協議の有効性が争われるケースもあるため、遺産分割協議の有効性という観点からしても、相続財産の内容とその価値の確認・把握は重要な作業といえます。 例えば、どのような不動産があるかを調べるにあたって、不動産の場合は、市区町村に設置されている、いわゆる名寄帳等の資料を収集し、被相続人名義の不動産を探し出すことができるでしょう。さらに、法務局で登記事項証明書(登記簿謄本)を取得することで、その不動産の権利関係などの詳細を把握することができます。また、不動産の固定資産税の納税通知書や固定資産税評価証明書等から、その不動産の価値を把握することができます。 これらも、相続人の確定と同様に、遺産分割協議の有効性にかかわる重要な作業です。 相続財産の調査に関しては、以下のページで詳しく解説していますのでご参照ください。
相続財産調査の方法相続人が確定し、どのような相続財産がどれだけあるのかを把握できたら、遺産分割協議を行い、具体的に誰がどの財産を相続するか等を決めます。協議の方法は、電話、メール等でも問題ありません。しかし、誰がどんな遺産を相続したかを明確にするため、遺産分割協議書は作成しておくべきです。また、協議で決めた内容で不動産の相続登記をするためには、遺産分割協議書が必要となります。遺産の中に不動産がある場合は、必ず遺産分割協議書を作成しましょう。 ここで不動産を相続することが決まれば、相続登記に向けて準備を進めていくことになります。 遺産分割協議についての詳しい内容は、以下のページをご覧ください。
遺産分割協議の流れと注意点遺産分割協議の内容や、収集した登記簿謄本等の資料をもとに、遺産分割協議書を作成します。 遺産分割協議書の書式に指定や決まりはありませんが、誰が、どの財産を相続するかを明記しなければなりません。特に、不動産の場合は、登記事項証明書(登記簿謄本)を書き記すか添付する等して目録を作成し、不動産を特定することが不可欠です。 また、遺産分割協議書には相続人全員の署名と、実印での押印があることが必須で、相続登記の際に相続人全員の印鑑登録証明書が必要となりますので、押印する際はそれが印鑑登録してあるものであるかを確認しましょう。 遺産分割協議書についての詳しい内容は、以下のページをご覧ください。
遺産分割協議書のひな形・テンプレートダウンロード(解説有り)相続税にも強い弁護士が豊富な経験と実績であなたをフルサポート致します
不動産の相続にあたっては、まず遺言書の有無および内容を確認しましょう。例えば、遺言書がある場合、遺言内容が「不動産を相続人Aに相続させる」という記載であれば、原則として、法定相続分にかかわらず、遺言内容に従って相続人Aが指定された不動産を取得することになります。 他方、例えば、遺言内容が「相続財産を相続人AとBに2分の1ずつ与える」等、相続分の指定のみであれば、各相続人が相続する財産の割合は決まっているものの、具体的に誰がどの財産を相続するか、遺産分割協議にて決めなければなりません。例の場合、相続財産の中に同じ価値の不動産が2つあれば、相続人AかBがそれぞれ単独で取得する方法や、相続人AとBの2人で2分の1ずつ共有して取得する方法も考えられます。 なお、遺言書がある場合でも、相続人全員の同意があれば、遺言の内容と異なる分割方法で遺産分割をすることが可能です。 そして、遺言書がない場合には、遺産分割協議にて具体的な相続分を決めることになりますが、それぞれの相続人がより多くの財産を取得しようとして相続人間で対立が生じる、いわゆる「争続」となる事態も珍しくはなく、相続に精通した弁護士に依頼することをおすすめします。
相続において不動産を分ける方法としては、
の4つが挙げられます。 例を用いると、「不動産を相続人Aに相続させる」という遺言があった場合、主に①の方法、「相続財産を相続人AとBに2分の1ずつ与える」という遺言があった場合は、主に②、③、④の方法を用いて不動産を分けることになります。 なお、②、③の方法をとった場合、相続完了後に、所得税や贈与税などの思わぬ税金が課される場合があります。こういった予期せぬ税金が課されることを回避するため、相続に精通した弁護士に依頼し、遺産分割協議書等の記載や分割方法を決めていく必要があります。 遺産の分割方法についての詳しい解説は、以下のページをご覧ください。
遺産分割の4つの方法と解説不動産を相続する場合、相続登記の手続を法務局で行うこととなります。その際に、法務局に提出する必要書類を確認し、書類の作成や資料の収集を行いましょう。 多くの場合に、被相続人や相続人の戸籍、住民票、印鑑証明書、遺言書または遺産分割協議書の提出を求められるため、相続する不動産が複数の場合には、あらかじめ必要な部数を把握し、効率よく手続を行うために、書類を作成・収集するようにしましょう。 それでは、必要な書類について、以下で詳しくみていきましょう。
相続登記に必要な書類は、遺言書の有無や遺贈の有無等によって異なります。以下、共通して法務局に提出が必要となる主な書類と、場合によっては提出が必要となる書類をまとめています。事情によってリストとは異なる書類の提出を求められることもありますので、事前に手続先の法務局へ必要書類を確認しておくことをおすすめします。
【共通して必要な書類】
【法定相続分どおりに登記する場合】
【遺産分割協議により登記する場合】
【遺言執行者の定めがある場合】
【遺言執行者の定めがない場合】
相続登記に必要な書類を揃えたら、不動産の所在地を管轄する法務局に収集・作成した必要書類および登録免許税分の収入印紙を貼付した登記申請書を提出すると、その提出書類をもとに審査が行われます。書類の提出方法は、法務局の窓口へ持参するほか、郵送でも可能です。提出書類に不備がなければ1~2週間程度で審査が完了し、不動産の権利証となる登記識別情報という権利証に代わるものが郵送されてくるか、窓口で受け取ることになります。この受領をもって、相続登記の手続は完了します。
相続人が、相続した不動産を売却したいと考えている場合にも、一度相続登記をして、不動産の名義を被相続人から相続人へ変更する必要があります。これは、「換価分割」のために不動産を売却する際も同様です。 相続登記をする理由としては、売買契約を締結する際、取引の安全上、売主が誰であるか、つまり不動産の所有者を買主に対して明確に示す必要があり、亡くなった被相続人は売買契約の当事者(売主)にはなれないため、相続登記をして、不動産の所有者が相続人であることを確定させなければならないからです。 したがって、相続登記を省略して売買による所有権移転の登記をすることもできませんので、相続した不動産を売却するためには、相続登記をして被相続人から相続人へ登記名義を変更することが不可欠です。 なお、相続した不動産を売却し、譲渡所得が発生すると、譲渡所得税の課税対象となることがありますので、この点も留意しておかなければなりません。
相続登記は、現在、義務化されておらず、期限もありません。つまり、相続登記をしないことによって罰則等のペナルティが科されることもないため、手続に必要な費用や時間を節減できるといったメリットがあります。 しかし、相続登記をしていない状態では不動産の所有者が明確ではなく、取引が成立した後に紛争が生じるリスクがあることから、トラブルをおそれて不動産を売却できないだけでなく、不動産を担保にしてお金を借りること等もできないため、相続した土地の有効な活用ができません。 また、相続財産である不動産は、相続登記が行われるまで法定相続人全員の共有持分であるため、各相続人の法定相続分については単独で相続登記の手続を行うことができ、その相続人の持分が、第三者に売却等処分されるおそれもあります。 そのほか、不動産を取得した相続人が相続登記をする前に亡くなってしまい、いわゆる数次相続が生じたときには、相続登記の手続がより複雑になることもあるため、相続登記をしないことによるデメリットは、メリット以上に大きいといえます。 したがって、不動産を相続することが決まった場合には、相続登記を見据えた準備を行う必要があるでしょう。 なお、相続登記については、所有者不明の土地が続出しており、社会問題と認知されるようになったことから、政府は義務化を検討し始め、今後義務化される可能性は大いにあります。
以上のことから、不動産を相続することが決まった場合には、相続登記が重要な手続でありながら、手続は非常に煩雑であることもおわかりいただけたかと思います。 不動産の分割方法は、特定の相続人が単独で相続するのか、複数の相続人が共有名義で相続するのか、不動産を売却し、売却益を分けるのかなど様々な方法があり、相続人の意向を踏まえれば、どの分割方法がよいのか判断することは容易ではありません。また、不動産の分割方法次第で、相続税や譲渡所得税等が発生する場合があり、課税対象となるかどうか、課税対象である場合の申告方法、控除・特例が適用できるかどうか等を判断することは非常に難しく、相続完了後に予想外の税金が課されることも珍しくはありません。そのうえ、分割方法が決まったとしても、遺言による相続か、遺産分割協議による相続かによって、準備しなければならない書類等が異なり、書類に不備があれば、書類を収集・作成し直し、何度も法務局に出向き、打合せをする必要がでてくる等、簡単にはいかないことが多いでしょう。
故人がアパートなどの収益物件を所有し経営していた場合、相続によって、賃貸借契約における「賃貸人としての地位」が受け継がれることになります。法律および判例上、この「賃貸人としての地位」を否定することはできず、収益物件を相続した場合に理由もないのに賃借人に対し「出て行け」などと立退きを迫ることはできません。
他方で、収益物件を相続した場合には、アパートの修繕など賃借人に対する義務の履行や、賃料の未払いがある賃借人との交渉など、様々な法的問題を抱えることになります。弁護士法人ALGでは、不動産トラブルの解決に長けており、様々な問題に迅速に対処することができます。不動産の相続に関するトラブルは弁護士法人ALGにお任せください。
弁護士法人ALGでは、相続登記の手続だけでなく、相続問題全般についての知識や手続の経験が豊富な弁護士とスタッフが、チームで対応しています。また、税理士法人ALGと提携しており、より多角的な視点からご依頼者様をサポートすることができます。 相続登記の手続を行うまでには、遺言書の確認をしたり、戸籍や名寄帳等の資料を収集し、法定相続人や相続財産の調査をしたり、不動産の分割方法を決めたりと、しなければならないことも多いですが、弁護士は、そういった様々な場面でご依頼者様に代わって手続を進めることができ、ご依頼者様の負担を軽減いたします。また、書類の収集・作成だけでなく、遺産分割協議等、ほかの相続人とのやり取りも代行できるため、相続人間で紛争が生じたとしても、ご依頼者様のご意向に沿って、利益を守れるよう、紛争の解決に努めることができます。 相続手続を適切に行うためにも、ぜひ一度、弊所へご相談ください。
故人が不動産を保有していた場合には、遺族が遺産分割を行う際に思わぬトラブルが発生することがあります。 なぜなら、不動産という遺産(相続財産)は、よほど山奥の土地などではない限りある程度の資産価値がある一方で、物理的に分割するということが比較的困難であるからです。さらに、遺族の一部が当該不動産で生活している場合には、その者の今後の生活をどうするかにも関係するからです。 そのため、遺族が不動産を分割するにあたっては、一部の遺族が不動産を取得して、他の遺産(相続財産)で調整したり、または、現金を支払って調整したりする(代償)のですが、どの程度の調整を行えばよいのか、どの程度の金銭を支払えばよいのか、など、様々な問題が生じます。 また、不動産の相続の場合に重要なのが「登記」の問題です。代々受け継がれてきた建物などは、時として先代や先々代の名前のまま残されている場合があり、これらを今回の相続に合った登記に変更するには一苦労です。
不動産には、不動産登記上、大きく分けて「甲区」に分類される権利と、「乙区」に分類される権利が存在し、1つの不動産であっても、所有権や地上権、抵当権などの様々な権利関係がからんでいます。また、故人が居住・使用していない不動産の場合、賃貸借や使用貸借など、様々な契約関係もからんできます。不動産登記簿謄本の精査や現地調査などから速やかに権利関係・契約関係を調査し、適切に遺産(相続財産)の状態把握に務めます。
俗に“一物四価”といわれるほど、不動産には様々な評価方法があります。そして、評価査定を行うにあたっては、鑑定業者により多額の費用を要する場合もあります。
弁護士法人ALGでは、これまでの実績と経験から信頼ある鑑定業者をご紹介いたします。また、適正な価格をもとに、ご依頼者様のご要望を最大限反映させた公平な遺産分割を導きます。
弁護士法人ALGでは、所属弁護士と所属司法書士の協同により、遺産分割手続きから相続を原因とする不動産の所有権移転登記まで、ワンストップのサービスを提供します。