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相続人には相続財産に対する管理義務があり、管理義務は相続放棄をしても直ちには消滅しません。そして、不要な家屋や土地、農地、車、山林といった相続財産があるケースで相続放棄をするときは特に注意が必要です。なぜなら、相続放棄をしたとしても、これらの財産は管理責任を追及される場合があるからです。 例えば、地震等の災害により、相続財産である瑕疵ある家屋が倒壊して周囲の家屋に損害が生じた場合には、管理義務を負う方(=相続放棄をした方)が、損害の賠償責任を負わなければならないおそれがあります。このような責任の根拠となるのが管理義務です。家屋、農地の相続放棄に伴う管理義務について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
家の相続放棄について 農地の相続放棄について管理義務とは、自分の財産におけるのと同一の注意をもって相続財産を管理しなければならない義務をいいます。管理義務は民法で規定されており、相続放棄をした後であっても、直ちには消滅しません。 なぜ相続放棄をしても管理を続けなければならないのかというと、相続財産の管理をする人がいなくなってしまうからです。管理をする人がいなければ、相続財産の劣化等による損害の発生を防ぐ人も、発生した場合に責任をとる人もいなくなってしまうため、相続財産の状況を最も把握できる立場にあると考えられる相続人に管理義務を定めているのです。
管理義務は、あくまでも「管理」をする義務です。管理とは、財産の保存・利用・改良を目的とする行為に限られます。相続財産である家屋の登記名義を変更したり、土地を売却したりする等の行為は、管理行為を超えた「処分」行為に当たるため、管理義務の範囲内の行為としては認められません。 万が一「処分」行為をしてしまった場合には、相続を単純承認(資産も負債も相続すること)したものとみなされてしまいます。これを法定単純承認といいます。 法定単純承認が認められると、相続放棄をすることができなくなってしまいます。
管理義務は、相続財産の管理をする人がいなくなってしまうことを防ぐために設けられた規定です。 したがって、相続放棄によって相続人となった人(相続放棄をしていない他の相続人、次順位の相続人)が相続財産の管理を始めることができるまで、管理義務は継続します。
相続人には、相続人となることができる順位があり、子→父母→兄弟姉妹というように続きます。これに対して、配偶者に順位はなく、子・父母・兄弟姉妹のいずれとの組み合わせでも必ず相続人になります。 異なる順位の相続人が同時に相続人となることはないので、子が相続人である限り、父母(子から見ると祖父母)は相続人とはなりません。しかし、子が相続放棄をすると、相続人たる地位が次の順位である父母へ移動するので、父母が相続人になります。この場合、子の管理義務は、次の順位の父母が相続財産の管理を始めることができるようになるまで続くことになります。
例えば、被相続人の介護をしていた子が相続放棄をし、被相続人の妹が相続したとします。介護にあたり、子が被相続人である父の通帳とカード、銀行印を預かっていました。相続放棄とともに、子は通帳等を手放すことになりますが、通帳等が妹の手に渡るまでの間、妹は口座預金の管理はできません。 この場合の「管理できるようになるまで」とは、妹の手に通帳等が渡り、妹が口座預金を現実に管理できるようになるまでということになるでしょう。 「次の相続人が管理できるようになるまで」の具体的なケースは、個別の事情を考慮して決められます。
相続人が相続放棄をすると、相続人たる地位は次順位の相続人に移りますが、最下位の相続人(兄弟姉妹ないしその子)まで相続放棄をすると、相続人たる地位にある人がいなくなってしまいます。このとき、相続財産を管理する義務がどうなるかというと、相続放棄をした方(元相続人)に代わって相続財産を管理することになる人が実際に管理を始められるまで、最後に相続放棄をした元相続人に課されることになります。 もっとも、元相続人や被相続人の債権者等の申立てによって選任することができる「利害関係人」(後述します)が実際に相続財産の管理を始めた時点で、元相続人の管理義務は消滅します。
相続財産管理人については、以下のリンク先の項目をご参照ください。 相続財産管理人について相続人には順位があり、相続放棄をすると、相続人たる地位は次順位の相続権者に移動します。 基本的に、相続放棄をする理由は借金等の消極財産(マイナスの財産)が積極財産(プラスの財産)を上回っているからです。マイナスの財産がプラスの財産以上の場合には、相続放棄をしないことで知らぬ間に負債を一人で抱える相続人が出る等のおそれがあるので、後で揉めないよう、全員で相続放棄を行ったほうが良いでしょう。 全員の相続放棄を一括して弁護士に任せれば、連絡の行き違い等の理由で、後順位の人が相続放棄の期限を超過してしまうこともなく、後に禍根を残しません。また、相続放棄の確実性を高めることもできます。全員まとめての相続放棄をご検討の場合は、ぜひ弁護士にお任せください。
相続財産管理人とは、相続に関して利害関係がある人等の申立てにより家庭裁判所が任命する、相続財産の管理や清算をする人をいいます。相続人がいるかいないか明らかではない場合や、すべての相続人が相続する権利を放棄して相続人がいなくなった場合等に任命されます。 相続に関して利害関係がある人とは、例えば、相続財産を管理する義務から逃れようとする元相続人や、相続財産の清算による弁済を求める被相続人の債権者等をいいます。
相続財産管理人は、業務として相続財産の管理清算を行うため、経費だけではなく報酬が発生します。相続財産管理人の経費や報酬は、基本的には相続財産から支払われますが、不足する場合には申立人の負担となります。そのため、相続財産管理人の報酬を担保するために、選任の申立ての際に、申立人は予納金として数十万~百万円程度を納める必要があります。 予納金が余れば返ってきますが、ほとんどの場合、期待はできません。
相続財産管理人の選任を申し立てることのできる利害関係人(債権者や特別縁故者等)は、相続財産の清算によって弁済や財産分与を受けようとします。しかし、相続財産に価値がなければ、弁済の費用や財産分与の財源に充てることはできません。相続財産管理人を選任するには、説明したとおり費用がかかるため、相続財産に価値がなければ利害関係人は損をするだけです。 そのため、相続放棄をした財産に価値がない場合には、利害関係人が相続財産管理人の選任を申し立てることは少なく、相続財産管理人が選任されない場合が出てくるのです。
相続人がいなくなった場合でも、相続放棄をした元相続人が、相続財産管理人の選任を申し立てる義務はありません。 ただし、相続財産管理人によって相続財産の管理が始められなければ、元相続人は相続財産の管理義務を課されたままです。 そのため、老朽化した家屋を放置する等、管理義務を怠って倒壊を招き周囲の家屋に損害を与えたような場合には、損害賠償責任を問われることがあるため、注意が必要です。
損をしないために相続放棄をしたにもかかわらず、相続放棄をしたことで、結果的に損をしてしまう場合があります。 例えば、相続放棄後、元相続人が相続財産管理人の選任を申し立て、相続財産が管理清算された結果、処分が困難な土地が残ったような場合です。この場合、相続財産の管理清算によっても処分できなかった土地であるため、国が国庫への帰属を拒否するおそれがあります。その場合、土地が処分できないために相続財産管理人の業務がいつまでも終了せず、選任を申し立てた人は、相続財産管理人の報酬を払い続けることになってしまいます。そして、結果的に相続をしていたほうが安く済んでいたというような事態に陥ってしまうケースがあるのです。
相続放棄をしても、管理義務が残ったり、相続財産管理人の費用負担をしたりする場合があるため、安易に相続放棄をすることは避けるべきでしょう。しかし、相続すべきか相続放棄をすべきかを見極めるのは、ご自身だけでは難しいといわざるを得ません。 そこで、相続についての専門知識を持つ弁護士に相談し、相続放棄を行うことが本当に最良の選択なのか、今後どのように相続手続を進めていくべきかを熟考されることをおすすめします。
相続放棄後、相続財産管理人が必要な場合には、ぜひ弁護士にご依頼ください。 依頼を受けた弁護士は、相続財産管理人の選任の申立てを代理し、相続財産管理人になれるよう家庭裁判所に働きかけ、相続財産管理人に選任された際には、ご依頼者様の利になるように活動します。 相続放棄をする・しないにかかわらず、まずは一度ご相談ください。
相続税にも強い弁護士が豊富な経験と実績であなたをフルサポート致します
相続人には順位があり、相続放棄をすると、次順位の相続人に相続人たる地位が移動しますが、次順位の相続人が新たに相続財産の管理を始めることができるようになるまで、継続して管理義務が課されることになります。 なお、最後に相続放棄をすることになる、相続順位が最下位の相続人には、それ以降の相続人がいません。そのため、相続財産管理人が選任され実際に管理を始めるまでは、管理義務は最下位の相続人に課されることになるのです。なお、最下位の相続人が複数いる場合には、最後に相続放棄をした方に管理義務が課されることになります。
同順位の相続人3人のうち、2人が相続放棄をし、残りの1人が遠方に住んでいる等の理由ですぐには相続できない場合を考えます。 そもそも相続財産の管理義務を元相続人に継続して負わせる理由は、相続財産の状況を最もよく把握できると考えられる相続人に義務を課すことで、相続財産の管理をする人がいなくなることを防ぐためです。 ですから、相続人がすぐには相続できない、つまり管理を始められない状況にある場合には、相続財産の状況を把握し適切に管理をすることができると考えられる元相続人が、継続して管理義務を負うことになります。
法定単純承認とはみなされません。なぜなら、公共料金の契約を解約しても、法定単純承認の要件である「処分行為」の定義に該当しないからです。 「処分行為」とは、財産の現状・性質の変化や、財産権の法律上の変動をもたらす行為(取壊し、売却、登記の名義変更等)をいいますが、公共料金を解約しても、この処分行為の定義に該当することはありません。 したがって、公共料金の契約を解約することは、法定単純承認とはみなされません。
被相続人が死亡しても、賃貸借契約は自動的には終了しないため、契約を解除する必要があります。 しかし、賃貸借契約の解除は、保存・利用・改良という管理行為を超え、賃借権という財産権の現状を変更する処分行為に当たるため、管理義務の範囲を逸脱してしまいます。 これに対し、家財道具等を別の場所へ移動させるといった行為は、財産を保存する管理行為に当たるため、管理義務の範囲内となります。 被相続人の住まいが賃貸の場合、家財道具等を保管するために運び出す程度の行為しか、管理義務の範囲内の行為としては認められません。
相続放棄後も継続して負うことになる管理義務から逃れるためには、最終的に相続財産管理人を選任することが必要ですが、多額の費用がかかるために、選任の申立てを行う方は少ないのが現状です。そして、結果的に相続財産である土地や建物が放置されてしまうことが多いです。 土地や建物を放置すると、ゴミの不法投棄や害虫の発生、老朽化による家屋の倒壊といった問題が起こり、周辺住民に損害を与えかねません。こうした損害の賠償責任は管理義務を怠った元相続人が負うことになるため、管理義務を怠ると不測の損害を被りかねません。このことから、必ずしも相続放棄をすることが最良の方法とは限らないといえるでしょう。 損害賠償請求をされてから、あるいは相続放棄をしてから後悔することのないように、あらかじめ弁護士へご相談いただいてから手続を進めることをおすすめします。