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監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates
亡くなった親族の遺品整理をしていると、封印された遺言書が出てくることがあります。しかし、内容が気になるからといって、その場ですぐに開封してはいけません。これは仮に相続人全員の同意があったとしても変わらず、遺言書を見つけたら、原則として検認の手続をする必要があります。また、必要な手続を経ずして開封した場合、過料に処されるおそれがあります。 このページでは、検認の手続や検認に関する疑問点について詳しく解説していきます。
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検認とは、家庭裁判所に遺言書の状態(形状、加除訂正の状態、作成日、署名、押印等)を確認してもらう手続です。相続人全員に対して遺言書の存在と内容を知らせるとともに、検認以降、遺言書が偽造・変造されるのを防止する目的で行います。
遺言書の作成方式には、「普通方式」と「特別方式」の2種類があり、一般的に利用される普通方式は、さらに「自筆証書遺言」「秘密証書遺言」「公正証書遺言」の3種類に分けられます。
このうち、法務局以外で保管されていた自筆証書遺言、秘密証書遺言については、開封前に必ず検認をしなければなりません。
自筆証書遺言に関しては、以下のページで詳しく解説していますので、ご参照ください。 自筆証書遺言について知りたい方はこちら秘密証書遺言、法務局以外(自宅等)で保管されていた自筆証書遺言を発見した相続人や遺言書の保管者は、検認をしないで遺言を執行したり、家庭裁判所外において開封したりすると、5万円以下の過料に処されるおそれがあります。 また、検認をせずに遺言書を偽造・変造・破棄したり、隠したりした相続人は相続欠格とみなされ、相続権を失うことになります。
検認の手続は、遺言書の保管者が相続の開始を知った後(遺言者の死亡を知った後)、または相続人が遺言書を発見した後に、遅滞なく行うこととなっていますが、特にいつまでに行うといった期限は定められていません。 しかし、相続放棄や限定承認の手続は相続の開始を知った時から3ヶ月以内に、相続税の申告は10ヶ月以内に行わなければならないため、できる限り早めに検認の手続を行うべきでしょう。
検認を申し立てる際には、まず相続人を特定して必要書類を集めます。すべての申立人が用意する必要がある書類は、以下のとおりです。
相続人に遺言者の父母または兄弟姉妹がいる場合や、相続人が配偶者のみの場合等は、そのほかにも用意しなければならない書類があるので、詳しくは裁判所のWebサイトをご確認ください。 また、法定相続人に関しては以下のページで解説しておりますのでご参照ください。
法定相続人になるのは誰か 遺言書の検認(裁判所 遺言書の検認のページへリンク)検認の申立人になれるのは、遺言書を保管していた人か、発見した相続人のどちらかです。必要書類を用意し、遺言者が最後に住んでいた地を管轄する家庭裁判所に検認を申し立てましょう。 遺言者の最後の住所地は、住民票の除籍や戸籍の附票といった書類で確認することができます。判明したら、裁判所のWebサイトから管轄する家庭裁判所を調べましょう。
管轄裁判所を調べたい方はこちら (裁判所 管轄区域のページへリンク)検認を申し立てる際には、手数料として遺言書(封書の場合は封書)1通につき800円分の収入印紙を検認申立書に貼付します。また、家庭裁判所が相続人に書類を送付するための郵便切手も用意する必要があります。郵便切手の金額や枚数については、申立てをする家庭裁判所に確認しましょう。
提出した書類に不備がなければ、家庭裁判所から検認期日についての案内が相続人全員に郵送されるか、電話で案内が来ます。案内には出欠確認の回答書が同封されているので、期日までに家庭裁判所に届くように返送しましょう。
検認期日には、申立人は遺言書と自身の印鑑を持参します。遺言書は、申立人や相続人の立会いのもと裁判官によって開封され、状態を確認されます。検認自体は5~15分で終了し、調査された内容は検認調書にまとめられ、記録として残ります。 検認に立ち会わなかった相続人には、家庭裁判所から検認が実施されたことが通知されます。
検認が終わったら、検認済証明書の申請を行いましょう。申請をすると、遺言書は検認済証明書がついた状態で申立人に返却されます。この検認済証明書がついていない遺言書だと、不動産の登記や預貯金口座の名義変更といった遺言を執行することができません。 なお、検認済証明書の申請には、遺言書1通につき150円分の収入印紙と申立人の印鑑が必要です。
検認を申し立ててから家庭裁判所で検認が行われるまで、約1ヶ月間かかります。書類に不備があったり、家庭裁判所が混雑していたりした場合は、2ヶ月以上かかることもあります。
検認の申立てに必要な書類は、誰が相続人となるかによって変わってきますが、親族が多くなれば、そもそも相続人にあたる人を正確に把握するのが大変になります。 また、必要書類には「遺言者の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本」とありますが、遺言者の本籍地の役所ではすべてを取得できないこともよくあり、その場合は戸籍をさかのぼって、ほかの役所にも請求することになります。相続人に遺言者の父母や兄弟姉妹がいるケース等では、ほかの亡くなった親族の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本等も必要になるため、とても手間がかかります。 しかし、弁護士に依頼すれば、このような面倒な手続をすべて任せることができます。弁護士は、職務上必要な範囲において戸籍謄本等を請求することが認められているうえ、戸籍謄本から相続人の範囲を確認することにも慣れています。さらに、検認期日に同席することもできるため、相続人間のトラブルが予想される場合には心強い存在となるでしょう。
検認は、あくまでも遺言書の偽造・変造を防止する目的で行う手続であり、その遺言書が法的に有効か無効かを判断するものではありません。また、検認をしたことで無効な遺言書が有効になるわけでもありません。 検認では、裁判官が申立人や相続人に対して、遺言書の筆跡は遺言者本人のものか、押されている印影は遺言者本人の印鑑によるものかといったことを質問します。申立人や相続人はわかる範囲でその質問に答えることになりますが、おかしいと感じてもその場で遺言書の無効を訴えることはできないので、別の手続をとる必要があります。
遺言書は作成方式が細かく決められており、その方式に則っていないものは無効となります。また、作成当時に遺言者に遺言能力(遺言の内容を理解・判断できる能力)がなかったりすると、その遺言書もやはり無効となります。 遺言書の内容に納得できない場合、相続人全員の合意が得られれば、遺言書に従わずに遺産を分けることができます。全員の合意は得られなかったものの無効を主張したいのであれば、裁判所に遺言書が無効であるか判断してもらう手続である「遺言無効確認訴訟」を起こすことになります(場合によっては、その前に調停を行います)。 そのような場合、ぜひ弁護士にご相談ください。弁護士であれば、遺言書が決められた方式どおりに作成されているか確認することができます。また、遺言書の効力についての話合いや調停、訴訟において、ご依頼者様の代わりに無効であることを立証できる資料を用意し、効果的な主張をしていくため、問題の早期解決にもつながるでしょう。 遺言書を無効にしたい方は、以下のページで解説していますのでぜひご参照ください。
遺言書が無効になる場合とは?相続税にも強い弁護士が豊富な経験と実績であなたをフルサポート致します
自宅等で保管されていた自筆証書遺言のなかには、封筒に入っていないものや、入っていても封印がされていないものが時々あります。そのような遺言書であっても検認は必要なので、家庭裁判所に事情を説明して手続をしましょう。
誤って遺言書を開封してしまったとしても、検認は必要になります。その場合も家庭裁判所に事情を説明し、開封したままの状態で提出しましょう。封印しなおしたり、封筒を破棄したりといったことはしないでください。
検認を行わずに開封してしまったとしても、遺言書は無効になりません。検認は遺言書の有効・無効を判断する手続ではないためです。 ただし、家庭裁判所以外で遺言書を開封すると、5万円以下の過料に処される可能性があります。実際には検認の手続を知らなかったために開けてしまったというケースもよくあるため、過料に処されることはまれです。とはいえ、民法では検認の場でなければ遺言書は開封できないと定められているので、絶対に故意に開封しないようにしましょう。
遺言書の検認を申し立てた人は、必ず立ち会う必要がありますが、それ以外の相続人が立ち会うかどうかは各人の判断に任されています。立ち会わなかったことを理由に罰則が与えられたり、相続で不利になったりすることはありません。 検認を欠席した相続人には、家庭裁判所から検認が実施されたことが通知されます。ただし、遺言書の内容を知るには、家庭裁判所に検認調書の謄本を交付申請する必要があります。
検認に立ち会えない場合は、代理人を立ててもかまいません。代理人を立てる場合は、弁護士にご依頼ください。弁護士は、代理人として検認に同席することが認められています。 なお、行政書士や司法書士といったほかの法律系士業も検認手続の依頼を受けていますが、代行できるのは書類準備等の限られた部分であり、検認に同席することはできません。
検認が終わるまでは、遺言を執行することはできません。そもそも遺言書がある場合、相続人全員が合意しない限り、遺産分割協議(相続人間の話合い)によって遺産の分け方を決めることはできないため、遺言書の内容に従う必要があります。 検認をせずに、または検認待ちの期間中に遺言書に従って遺産を分けたとしても、検認済証明書がないと不動産登記や預貯金口座の名義変更が行えないため、遺言を執行することはできません。検認の申立てから期日までは約1ヶ月間かかりますが、検認待ちであっても相続放棄や限定承認、相続税申告の期限を延ばすことは難しいので、早めに手続を行っておくべきでしょう。
検認は、相続人全員に遺言書の存在と内容を知らせ、遺言書の偽造・変造を防止する目的で行われるものであり、相続手続において大変重要な意味を持ちます。しかし、検認の申立てに必要な書類を揃えるのは大変なことですので、弁護士に依頼することをおすすめします。弁護士は、必要書類を準備して手続を行うだけでなく、検認に同席することもできます。 しかし、相続手続の第一歩である検認が無事に終わり、いざ遺言書どおりに遺産を分けようとしても、自筆証書遺言では遺言執行者が指定されていないことがよくあります。遺言執行者とは、遺言書の内容を実現するための各種相続手続を行う人のことです。遺言執行者が指定されていないと遺言が円滑に執行されないおそれがあるため、遺言執行者を選任することをおすすめします。弁護士を遺言執行者に選任すれば、相続手続が確実に行われるため、相続人の手間を省き、相続人間のトラブルを予防することができます。 このように、弁護士は相続に関して一貫したサポートを行うことができるため、お困りのことがあればぜひご相談ください。